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「そうですか。
陸人さんを説得してくれたんですか」
屋上へ続く人気のない階段の途中で、弥は凛子と座り込んで話していた。
さすがに、霊を相手に話すのは疲れたからだ。
「あれもまた、一筋縄ではいかない男だね。
まあ、そんな奴じゃないと、悪霊にはならないか」
と言うと、
「悪霊……なんでしょうかね」
凛子は迷うように、そう呟いた。
いや、あれ、顔は綺麗だけど、悪霊だろう。
これだけ凛子を振り回している時点で、自分たちにとっては悪霊だ。
「いっそ、蒼汰くんじゃなくて、凛子ちゃんに憑いたらって言ったんだけどね」
と言うと、えっ、と凛子が引く。
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