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「これ全部、あんちゃんにやるよ」
「え、でも……」
今日会ったばかりの相手に、しかも使い込まれ古びているが立派な武具をくれるなんて。
「餞別だ。これから俺の後輩になるかも知れないあんちゃんへ、贈らせてくれ」
「そんな、頂けませんよ」
「気にすんな。俺、あんちゃんみたいに装備に無頓着な奴を見ると、放っておけねぇんだ」
ホレホレと、オッサンが屈託のない笑顔で木箱を手渡してくる。
会って間もない相手から、物を貰うのは気が引けるけど、ここは有り難く貰っとくか。
実際問題、武具を買う余裕が無かったからオッサンの厚意は棚から牡丹餅だった。
「分かりました。
有り難く使わせて貰います」
「おう、健闘を祈ってるぞ」
オッサンの家を離れ、
もう一度ギルド本部へ向かう。
いよいよ、登録試験本番だ。
気を引き締めて、ギルド本部の扉を開いた。
……あ、あのオッサンの名前聞き忘れた。
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