俺たちの夏

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本当に不便な体になったもんだ。 去年の夏のバイク事故以来、俺の首は簡単に180度どころか、ぐるぐる回るし、たまに片足も落ちるし、唯一の私服はズタズタに裂けて血まみれだ。 ダイキに至っては、顔の真ん中を自動車に轢かれてしまったので、若干陥没してタイヤの跡がついている。 「なあ、俺たちってさ。別に仮装しなくても、脅かせるんじゃね?」 「バカだな。あまりグロテスクでリアルだと、誰もお化け屋敷入ってくれなくなるだろ。」 「怖すぎてか?」 「俺たちはホンモノだから、気付くやつは気付くんだよ。」 「怖いって噂がたったら、繁盛するんじゃね?お化け屋敷。」 「本物が出るってわかったら、普通の神経のやつは来ないって。」 「そんなもんかなあ。」 その時、ヒューという音とともに、花火が空に昇っていった。 いつまで経っても、花火は花開かない。 「なあ、これって花火?」 「人魂、かな。」 「先輩、騙したな。」 その時、遠くから先輩の声がした。 「おーお前ら、お疲れ。」 まだ軍服姿の先輩の首から上は存在していない。 「なあ、先輩って顔ないけど、どこから声出してると思う?」 と俺がダイキに尋ねると、ダイキは 「さあ~?」 とぺしゃんこの腕を組んだ。
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