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俺たちの夏
夏が来た!
夏は俺たちのためにあるような季節。
海、花火大会、夏祭り、そして、恋!
若者にとって、大いに謳歌すべき季節。
ああ、それなのに。今年の俺たちの夏はバイトから始まる。
先輩の言うことには逆らえねえ。
先輩は俺たちにとって、恐怖の存在。逆らおうものなら、どんな目にあわされることか。
「はぁ~、モチベーションあがんねーなあ。」
俺たちは、お決まりの衣装に着替えると、鏡の前でぼやいた。
「そうぼやくなよ、ヒロト。」
とダイキ。
「だってさぁ、この衣装。マジありえなくない?」
俺は、鏡に映った自分を見てウンザリしている。
幽霊って言えば、赤か白のワンピースって安直だろう。しかも、女装だし。
「赤と白のワンピースっつったら、幽霊の定番だろ。」
白いワンピースに着替えたダイキは、なかなか似合っていて、自分でもまんざらでもなさそう。
俺たちは、今日から、この遊園地内のお化け屋敷で、幽霊として働く。
「それに、幽霊、男じゃああまり怖くねーんだと。黒髪ロングヘアーワンピース鉄板だろ。」
「だけどなあ~。」
俺は嫌々ながらも、女性用かつらを被る。
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