【トンネルの闇】

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 トンネルを抜けるまでの残り数メートルの間、私たちは一言も言葉を発しなかった。そして誰も、後ろを振り返ることはしなかった。  あれは確かに異質の空間だった。何がきっかけだったのかはわからない。あの時、不安に思って振り返ることをしなければ、あの時、タクシーが通らなければ、私たちは今頃どうなっていたのだろうか。  その後、その話は誰も口にしなかったし、誰にも話していない。
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