夢の黄泉路

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   *** …………………………………………。 「……められよ……」 ……………………。 「……るじ、……ざめられよ……」 …………。 「主殿、目覚められよ」 誰かに呼ばれている。 蒼き剣士の声ではない。 知らない声だ。 まるで水銀のような、キラキラと重たい声だ。 「……うぅん? ……ここは……?」 目覚めた召喚士は周囲を見回しながら、寝ぐせにやられた頭を掻き毟る。 寝惚けているせいで状況が理解できない。 「……俺は、確か、村の宿屋で……?」 そう思って辺りを確認するが、そこはどう見ても村の宿屋ではない。 朱色と山吹色が渦のように混じり合った空。 そこに浮かんだ青緑色の月。 そして下には深淵の闇が広がっている。 そんな世界で、闇の上に伸びた一筋の光の道の上に、今、召喚士はいる。 「え? 何で? これは、……夢……?」 ようやく目を覚ました召喚士は慌てた。 立ちあがって見れば、闇から吹き上げる風が召喚士を取り巻いて舞う。 ゾッとする冷たさだ。 その冷たさに召喚士はその世界が夢ではないことを思い知った。 「でも夢じゃないとしたら、……ここは?」 それは誰に向けた問いかけでもなかったはずだ。 なのに、 「黄泉路というヤツじゃ」     
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