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放課後の剣術男子
「ね!ね!瑠璃!」
放課後の教室、先に帰ったはずの知世が駆け込んできた。
「どうしたの?息咳切って」
図書室から戻ってきたばかりの私は本をスクールバッグに詰め込みながらのんびり応える。
「あのね!剣道場ですごい試合やってんの!!」
「剣道?」
そう言えば体育館の裏にそんなのがあったっけ?
「とにかくちょっと見に来なよ!」
「あっ!ちょ、待って!まだバッグ閉めてない…」
私は知世に引き摺られて教室を出た。
*
パン、パァーン!パン!
剣道場に近付くと何かが激しく弾き合うような音がしている。
「ね、ちょっと!何の試合なの!?私剣道なんて全然わかんない!」
「いいからいいから!」
知世が道場の戸を開けるとそこにはおびただしい数の靴が置かれていた。隙間を見つけて靴を脱ぎ板の間に上がる。
「たぁぁぁぁぁっ!!」
パァーン!
「胴あり!勝負あり!」
道着姿と制服姿のギャラリーが一斉にざわつく。
「次大将だってよ?」
「アイツここまで一本も落としてないんだろ?やべーよ!」
(アイツ…?)
どうやらその『アイツ』は、勝ち抜き戦で先鋒から副将の4人を負かしてしまった、ということらしい。
「知世、あれ誰なの?」
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