隣の予想外男子

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「ちょっと手伝ってもらいたいことがあるんだけどいいか?」 「あ、はい」         * (で…)  何でこんなもの必要なんだろう…  放課後の教室で私は大きな溜め息を吐く。  野々村先生からの頼まれごとは… 『一期一会』と達筆な毛筆で大きく書かれた紙を黒板の上の壁に貼る! …というもの。 (小学校みたい…)  とにかくぱぱっと貼ってしまおう。  蜂蜜色の夕陽が射し込み始めた教室。クラスの子たちが下校したり部活に行ったりして室内が空き始めた頃、私は 「よしっ!」 と気合いをひとつ、シャツの袖をくるりと肘まで腕捲りした。 (椅子じゃ届かなそうだな…)  教壇の上にごとごとと机を運ぶ。  それから上靴を脱いで机に上がり込む。  うーん、と背伸びをするけれど… (ちょ…ちょっと届かない…)  どうしようかな…とちょっと考える。  教卓なら届きそうだけど教卓を教壇の上に持ち上げるのは重そうだしなぁ。黒板からは少し離れてるけどこのまま教壇の下に置いたまま乗ってもなんとか届くかなー…  私は机から教卓に乗り移る。  再び黒板に向き直ってえいっ!と背伸びをするも… 「あっ!ちょ…」  やっぱり黒板までの距離が離れ過ぎていて、あわや落ちそうになる。 (はー、やっぱ教卓動かさなきゃダメね…) 「…おい」     
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