隣の予想外男子

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 キーンコーンカーンコーン… 「では今日の授業はここまで」  3時間目終了のチャイムで数学の先生が教室を出ていく。  おなか空いたなぁ。次の時間はなんだっけ?  あ、野々村先生の国語か。 「あっ…あれ…?」 「どうしたの?瑠璃」 「…国語の教科書がない」  うゎ、どうしよう!3組なら中学の時の友達がいるから借りられるかな。  私は慌てて3組に向かう。  けれど移動教室のようで既に教室は閑散としていて、友達の姿もない。 (ひゃあ、困ったなー。これは隣の香取くんに見せてもらうしかないのかも…)         *  授業が始まり、私は恐る恐る香取くんに声を掛けた。 「あの香取くん。ごめん、国語の教科書忘れちゃって…  見せてもらえるかな…?」 「……」  香取くんはいつものように何も言わず私の方へと教科書を寄せてくれた。 「この段落に筆者の言いたいことが書かれていることが分かるわけだ。ではここに傍線を引いて─」  先生の説明に香取くんが教科書に線を引く。  私の視線の先でシャーペンを握る香取くんのしなやかな指が動く。 (書きにくいんじゃないかな。なんか…申し訳ないな…) なんて、ちょっと居心地悪い。     
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