放課後の剣術男子

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「しっ!」  知世が自分の唇に人差し指を当てる。  どうやら大将らしい人が試合場に出てきた。  二人が向かい合い礼をする。厳かな雰囲気。  一歩、二歩、三歩とするすると前に進むと、しゃがみこみ竹刀を合わせる。 「はじめ!」 「やぁぁぁぁっ!」 「しゃーーーっ!」 (な、何この気迫…)  見てるだけで怖い… 「メェェェン!」  振りかぶった大将が竹刀を振り下ろす。  それを『アイツ』と呼ばれた青年剣士が竹刀で防ぐ。  ビシィィィッ!!  パン!パパンッ!  打ち合いからのぎりぎりとした鍔迫り合い。 「分かれ!」  審判の声に竹刀が離れ、即座に青年剣士が構え直す。 「りゃあぁぁぁぁ!」 「あぁぁぁぁーっ!」  青年剣士の掛け声に、負けじと大将が雄叫びを上げる。  睨み合うように対峙した二人が、先に動いたのは大将だった。 「メェェェェン!」  振り下ろされた竹刀が青年剣士の顔先を掠め、次の瞬間、 「小手ェェェッ!」  彼の竹刀が大将の左手の甲を打った。 「一本!小手あり!」  審判が手を挙げる。 「えっ?えっ?今のどうなったの!?」 「今のはテニスで言うところのマッチポイントね」 (そうなんだ…)  試合場では二人が再び構える。     
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