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(110番!?119番!?えっ、どっ、どうしたらいい!?)
男の子の背後から蹴りが入り、がくりと膝を着いた彼が振り返る。
(……!?)
私は息を飲んだ。
険しい表情、それでもなお美しい容貌。
そう、振り返った彼は─
香取くんだったから。
香取くんの後ろでまた一人が金属棒を振るう。
「危ない!」
私は自転車から飛び降りた。
同時にガツンと鈍い音がして香取くんの左肩に金属棒が当たる。
私は倒れた自転車がガシャーンと派手な音を立てるのを背中に聞きながら、香取くんたちの方へと走った。
そして私は目一杯の声で叫ぶ。
「お巡りさーんっ!こっち!こっちです!!早く早くッ!!」
「やっべ!」
「ワンチャンあったな!感謝しろよ!」
「早くいこーぜ」
蜘蛛の子を散らすように男たちが走り去っていく。
「香取くん!」
肩を押さえてふらりと立ち上がる香取くんの元へ駆け寄る。
「香取くん!大丈夫!?」
「…あぁ、大したことない」
「何!?どういうこと!?あぁ、早く警察に連絡しなくちゃ…」
「そういうの要らないから」
「なんで!?だってこんなのッ…」
「だからいいっつってんの」
取り乱す私に対して香取くんはあくまで落ち着いた様子で言った。
「余計なことしなくていい」
「……
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