世界の時計

2/2
前へ
/40ページ
次へ
ママが死んだ。 たくさん、泣いた。 優しかったママはもういない。 ……涙が、とまらなかった。 ママは私が泣いてたら、いつも黙って抱き締めて頭を撫でてくれた。 思い出したら、よけいに涙が溢れた。 ……それも、もう前の話。 今はもう泣かないでママの写真を見ることができる。 世界の時計は残酷だ。 私に何があっても、私を待ってなんかくれない。 一定のリズムを、時間を刻み続けている。 ……ママが、思い出の存在になってしまったように。 パパの中のママが、過去になってしまったように。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加