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「でさ、その水野さんってのがこの間麻弥って呼んでね、綾ちゃんって言ってきたんだよ」
「綾はなんて返したんだよ」
「綾じゃなくて小暮って呼んでくださいって言ってやった」
「こわー」
将くんが笑う。
学校が近くなってもまだ人がまばらにしか見られないのは登校時間よりはるかに早いから。
将くんは野球部だから、朝練がある。
こうやって一緒に学校行くようになったのは2年くらい前からだったかな。
よくママに冷やかされた。
「だって本当にいやなんだもん、香水臭いし」
「でも綾の父さんの会社の友だちなんだろ? 上手くやらないと困るんじゃねえ?」
「……うん、そうなんだけど」
友だち、っていうか。
それを越えてる、と思う。
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