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『お願いします。話だけでも聞いてもらえませんか。決して悪い条件じゃないんです』
電話の声にガチャンと受話器を置いた。
疲れてるのにくだらない話は聞きたくない。
イライラして電話線を抜いてやろうかと思ったけど町内の連絡網にも使うし、漁業組合からも電話が入るからそれはしちゃなんねーし。
俺は風呂に入って父ちゃんと母ちゃんと晩飯を食って早い時間に寝た。いつもと同じ九時。明日も三時起きだ。
翌日、港へ戻ってきたのは夕方の五時頃だった。
今日も暑かった。漁獲はまぁまぁだ。六月が旬でもある真アジのいい大きさの物が捕れたし、石鯛もいた。キスは天ぷらにするとうめぇんだよな。
そいつらを全部魚ごとに箱へ入れて冷蔵庫へしまう。明日の朝一番でセリに持って行くのは父ちゃんと母ちゃんの仕事だ。
軽トラを走らせ港から五分の自宅へ到着。
六時か……もうヘトヘトだ。
「こんばんは」
「うおっ?」
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