私の人生の始まり-1

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3日前。 キッチンが、隣の部屋がガチャガチャ、ゴトゴト、チリチリとうるさく、それで目が覚めた。 「んー…何事?」 その音を煩わしく思いながら目を開けてベッドから起き上がると、私は辺りを見回した。 まずはキッチンに目をやる。 「ディアー!トマトー!」 「俺はトマトじゃない……いやすまん、そんな目で見ないでくれ。はい、トマトだな」 「うんうん、ディアは黙って私の頼むことを聞いてればいいの!」 空恐ろしくも、魔王であるディアをこき使い、料理をしているルリの姿が。 扉が開いている隣の部屋を見る。 「んー…この味だと小さい子が飲めませんよね……蜂蜜でも入れてみる……?」 試行自分で作った薬を試行錯誤しながら改良しているアリーシアの姿が。 アリーシアの隣の机を使っているミズキに目をやる。 「……もうすぐ夏、だから向日葵とか、いいけど、売れますかね……他にも、調べなきゃ……」 夏に売る花を考えているミズキ。 そして、私を見る。 彼女らが頑張っている中、ひとりだけベッドの上でゴロゴロし、特に仕事もしずに自堕落な生活を送っている、彼女らの元主人格。 魔王であるディアすら自ら手伝いを引き受けているというのに、私は? 「……このままじゃダメだ!」 私は公共就業安定所――要するに、ハローワークのようなところだ――に行くしかない! でも今日はダメだ、雨が降ってるし。 たしか明日も雨だな。 ……よし、明後日行こう! そんなダメ人間のようなことを言い続け、ようやくその日がやってきた。 私の新しい人生が始まる(かもしれない)日を迎えることとなったのだ。
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