第二章、現状と悪意の種

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・ギルネス王国北、魔王領にもっとも近い村。 寂れた村に住む人々が笑いながら畑を耕している。 村にある家は所々壊れ、人々の着ている服は解れており、泥などで汚れている。 数人の小さい子供達は家の近くを走ったりして遊んでいた。 「魔王がいなくなってから平和だね?」 「勇者様のおかげだな!…もうあんなこと、二度とごめんだ」 この村は魔王領に近い。村の少し離れたところにある暗黒の森を抜けると、すぐに魔王領がある。だからか、過去、ゴブリンやオーク、その他にも様々な魔物が村を襲ってきたことを思い出す。何人も、何人も死んだ。魔王が現れてから、特に過激になっていったからだ。でも今、生きている。 話していた村人たちは、子供たちの姿を見る。 「あいつらには、のびのびと幸せに生きていってほしいな…」 「そうだね…」 子供たちを見つめていた村人は、暗黒の森から出てきた、黒いフードを被った人物に気付いた。 男か女かは分からない。見るからに怪しい人物だ。 「ん?誰だ、あれは…」 黒いフードを被った人物がニヤリ、と笑った。
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