プロローグ

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・ギルネス王国北、魔王領。夜。 空は年中黒に近い灰色で、植物や大地は枯れ果てている。 勇者、「佐伯悠人(さえきゆうと)」は仲間の聖女でありこの国の姫、「アルティーナ・フォン・ギルネス」と騎士、「レギオン」魔法使い「シュバルツ・ヴェッケンハルト」と共に魔王を倒した。 悠人はこれで全てが終わり元の世界、「日本」に帰れると喜んだ。だがその瞬間、背後から胸の間を剣で貫かれる。 「え…?」 口から血を吐き、剣が勢いよく後ろに引かれ膝から崩れ落ちる。嫌な予感がしながらも、ゆっくりと後ろを振り向くと、右手に悠人の血がついた愛用の剣を持ったレギオンが、凍えるような冷めた眼差しで悠人を見つめていた。 「なん…で…」 信じられないと驚愕の表情をしながら、悠人は震える声で問いかけた。 「レギ・ジオ・フラン」 その声を遮るかのように突如、アルティーナが炎の王級魔法を悠人に向け発動し、悠人の全身が炎に包まれる。 「ああああぁああぁああっっっ!!!!」 悲鳴をあげながら炎を消すように体を掻き毟る悠人。 しばらくし火が消えたが、悠人の全身は醜く焼け爛れており、虫の息だった。
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