第二章、現状と悪意の種

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・アヴァン領、領主館。お風呂場。 「ふぅ…」 あの後、他のメイドに見つかり速攻お風呂場に連れてこられた。体を洗い、湯船に浸かる。 「本当のことだったんだけどな?…いてっ」 腕にピリッとした痛みが走る。見るとうっすらとした切り傷があった。ドラゴンと遊んで(戦って)いたときにできたものだろう。普通の三歳児、いや。大の大人でもドラゴンと対等に戦うことはできない。なぜならドラゴンというものはこの世界で厄災に指定されるほどの魔物なのだ。だが、なぜウィルは無事だったのか? 実はウィルこと、ウィリアム・アヴァンは、転生者だ。前世の名前は篠宮優希。交通事故で死んだ高校生である。前世ではよくファンタジー小説を好んで読んでいた。「俺もトリップか転生してみたいー!」と本の主人公を見るたびに思っていたが、まさか本当に叶うとは…。人生とは何が起こるかわからないものである。 ・過去回想。 ウィルは生まれた時から自我があり、歩けるようになってからはこっそり父の書斎へ行って独自にこの世界のことなどを勉強していた。やはりファンタジーといえば魔法だろう。 「魔法入門」と書かれた本を手に取り、ページをめくる。 「魔法は大きく分けて三つあります。攻撃魔法、治癒魔法、召喚魔法である。魔法を使うには、魔力が必要です。魔法の発動方法は詠唱か魔法陣です。魔法の難易度は五段階に分かれています。初級、中級、上級、王級、神級です」などと書かれていた。ちなみに属性は火、水、風、土、闇、光がある。本を見ながらコツコツと誰にもばれないように練習をしていたら、全属性上級まで無詠唱で使えるようになった。(一般に、属性は一つで、魔法は詠唱を唱え、初級がほとんど。よくて中級。上級、王級は世界に5人くらい。神級は神話扱い) ・回想終わり お風呂から出るとメイドから母が呼んでいると言われ、部屋へ向かった。
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