恭賀Side後編 3話:誕生日プレゼント

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ゲーヲタであることがバレました。 いえ、バレている最中です。女神(ミューズ)様、どーか俺のイヤホンは引きちぎらないで下さい。 「幼いうちからはるくんまでゲームを覚えたらどーするんですか!?」 「あっ!」 痛っ。 イベントシナリオ~『お嬢様は妄想の中』~ 妄想と書いて夢と読む。 様々な困難を乗り越え、ようやく想いが結ばれてからの初めてのイベントよ? これが悶えずにいられるもんか! 無表情とかむっつりスケベですか!? この後、二人が特別棟で何をおっぱじめるか……まさに“いいところ”でイヤホンをむしり取られた。 容赦ねぇ……覚えたらって、ジャンル違うし。 耳から外すならまだしも、携帯の接続部分もお構いなしにイヤホンを持っていかれた。 俺が“配慮”してたのは、夏月ちゃんだっつーの。 「真さん!」(真さんはお医者様設定) 携帯から漏れるシナリオの内容に、俺がどういったゲームをプレイしているか、さすがに夏月ちゃんも合点がいったらしく、 (さすがCM効果!!) これでもかというくらいに左の頬を引きつらせ、俺から距離を取った。 ヲタク、キモい! という偏見は甘んじて受けよう。 中学の頃やこっちのルックスでいると時は両親のことを伏せていても、それなりに女の子達が寄ってきたりするんだけどなぁ。 けれど、夏月ちゃんは心底、俺自身にドン引きしている。 いいね、いいね~。あ、でも。イヤホンは返して下さい。 「ぱ」だったり、「あ」だったり。 口をまごつかせる姿に(やっぱり表情はドン引きしているけど)、なんだか胸の辺りがうずうずする。 「……ハレンチです!」 ず……きゅんんんっっっ ちょっと、新鮮なんですけどー!! 声を堪えて笑うのって結構、胸痛い。……とまぁ、俺がゲーヲタであることがバレたところで、この生活に与える影響なんて微々たるもんだ。 『幼いうちからはるくんまでゲーム覚えたらどーするんですか!?』 はいはい。ゲームをする為に、キミを雇ったんだよ。 「……夏月ちゃん、来週辺り、外でご飯食べようか」 「……」
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