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また引いてる……
「違うよ! その日を給料日にして、夏月ちゃんをもてなそうと純粋な――」
「給料日!」
チョロイな。
面白いくらいに夏月ちゃんの表情が明るくなり、
「ん?」
「あ、いえ。楽しみです。ちょっとお風呂見てきますね」
おっと?
一瞬だったが、同じぐらい露骨に不満げな表情に変わった。
初めての給料は、両親に温泉旅行をプレゼントしたり、おいしい物を食べたりするのに使わないの?
「……変なの」
俺の一言で夏月ちゃんを路頭に迷わせることだってできるのに、いまいち自覚が足りていないのか、あり余っているのか……
「はるくーん、お風呂の用意ができましたよ~」
少しくらい面倒見てましたよー、アピールも必要かと考え、どこから出してきたのか知らない(夏月ちゃんの持ち込み?)折り紙ではるを遊ばせていた俺は、風呂場から戻ってくる足音に耳をすませながら、そっと携帯を手元から遠ざけた。
「何してるんですか?」
やっぱりね。
戻ってきた夏月ちゃんから、俺が携帯で遊んでいなかったか目線でチェックが入った。
はるが、どーぞと夏月ちゃんへ折り紙の塊を渡す。
なんだよー。最初は俺にくれないのかよ。いや、たらしの片鱗だったりして。
夏月ちゃんが苦笑いで受け取ったことが気に食わなくて、俺はテーブルに頬杖をついた。
「さすがに、はるくんにはまだ早いかと……」
「いーや、ティッシュをポイポイする時の指使いはとても一歳児とは思えない」
よって!
「ウチのはるならできるはず!」
その塊も見ようによっては、チューリップに見えなくもない!!
ビリビリ~
「対象年齢3歳以上って書かれてますよ」
……うるさい。なんの目的で持ち込んだわけ?
『ウチの』
今のは勢いで言っちゃったけど、はるに何か習わせたほうがいいのかな。エリカさんみたいに英語とか……今のご時世、当たり前って感じになりつつあるし。胎教って言葉があるくらいだから、早いに越したことない?
ちなみに、エリカさんにはるを預かる以外、頼まれ事は特にされていない。はるの手先の器用さ(?)もエリカさんにはない。
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