恭賀Side後編 3話:誕生日プレゼント

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おっとっと? 「無礼存じ上げたでござるっ!」 えぇーっ。面倒く…… 違う違う。俺だって優しくなろうって決めたんだ。 「無礼なんかじゃないよ。うん、無礼なんかじゃないから夏月ちゃんが考えてること、俺にも教えて? 夏月ちゃんのこと、もっと知りたいんだ。……なんて、注意事項に上げてる俺が言えたことじゃないけど」 「パパさん……」 注意事項 1.年齢問わず(高校生不可) 2.家主のプライベートは詮索しない! 3.家主に恋愛感情は抱かない!! ……気のせいじゃない。あの顔は…… ふいっ、と夏月ちゃんから顔をそらして、確信する。 あの顔…… *あーんしてと頼んだら、今なら夏月ちゃんも「あーん」と同じ顔で俺に食べさせてくれちゃいそうな顔のこと。 可愛いじゃないか、チクショー。 「そっ、そんなことないです!」 「……その怪我とも関係あるんでしょ?」 家主の好感度を上げるのはこんなにも簡単なのに、幼馴染設定が効かないだと!? ところどころ両手の指先に巻かれた絆創膏に「あ……」と視線を落とす。ひらひらと誤魔化すように手を振りながらソーイングセットを取り出してきた夏月ちゃんは、 ブーッ、ブーッ、 おっと? ほったらかしになっていた携帯が、クマさんからのメールの受信に震えた。 「できれば当日まで内緒にしておきたかったんですが……」 手元を見ている夏月ちゃんは、メールの受信に気づいていない。 タップした画面を横目で見ると、 締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り締め切り ……うわぁあ!!!! 気持ち悪っ。 「もうすぐ、はるくんの誕生日じゃないですか。はるくん、ティッシュをポイポイするのと、くまちゃんマン(アニメのキャラクター)が好きみたいなので……好きなものを合わせてみました。後は縁にゴムを入れて、あ……」 何か思いついたのか、夏月ちゃんが手を合わせる。 「アップリケもつけたいなぁ」 「……」 無視しよう。……ん? 夏月ちゃん。今、なんて……はるに内緒?
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