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私は三度の飯より怪談が好きで、そういう類のものにめっぽう目がない。
書店に行けば真っ先にホラー特集やらが置かれている場所を探す。もちろん、探究心を養うため、下手に書店員に問答するなど無粋な真似はしない。
そんな私が最近ハマっていることといえば、仕事の合間を縫っての心霊スポット巡りだ。
本職はオカルトとは程遠い、実に現実的なものであるので、たまの休日の、実に良いリフレッシュになっている。
とはいえ、本当にそんな現象に遭ったかといえば、俄に首肯し難いのだが。
それでも、幼少の頃より培ってきた知識をぶち撒ける場である、趣味同然のブログの良いネタにはなっている。
そのブログは決して閲覧数が多い訳ではないが、私と同類の人間と知り合う起点としては実に優秀で、互いにとって、実に有意義な交流を行えている。
で、だ。
実は昨日、その交流している人物の中で、最も気の合う方から、とある興味深い情報を耳にしたのだ。
なんと、私の住む街にある無人の空き家に、曰く付きの話があるらしいのだ。
なんでも、『その空き家の二階に、今でも鍵の掛かった部屋があり、そこから時折ドンドンと、扉を叩く音がする』という。
他にも呻き声のようなものが聞こえたり、放棄される前は貯蔵庫だったのか、腐臭すら漂っているらしい。
実に胡散臭い。それが良い。
だから無類のホラーフリークの私としては、今日が運良く休日だったのもあり、その空き家へと足を運ぶのは必然だった。
「ここ、か」
古びた洋館のような様相を呈す、いかにもな建造物を前に、私は胸を踊らせていた。
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