その日のために

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その日のために

「それでは、これにて全ての手続きが終了いたしました。」  鞄にサインした紙を入れ、ペンは胸ポケットに挿した。 「本来ならば…。」  すまなそうに言っているのが声のトーンからも伝わる。 「専用の待機場所へ移動していただくのですが…。」 「もしかして…。」 「はい。ご察しの通りパンクしております。」  想像するのは《火を見るより明らか》と言う言葉を思い出した。 「ここで、お待ちいただく事になります。」 「仕方ないですね。」  髑髏は頭を下げ、 「そう言っていただけると…。」  手にしていたタブレットを差し出した。 「こちらは無料の貸出サービスとなっております。ご自由にお使いください。」  受け取り画面を見ると、先程のよめない文字ではなく普段使っているよく知ったものに変わっていた。 「転生先で使える学問を勉強するのがよろしいかと…。」  先程の言葉を思い出し、 「ここでの記憶は消えるのでは?」  気になった事を効いた。  髑髏に表情があるのなら、驚き感心したが見て取れただろう。 「流石、転生者希望でいらっしゃる。先程といい、鋭い観察力感心いたしました。」  立ち上がると帽子を脱ぎながら一礼し、     
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