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「ご安心ください。記憶は消えますが、知識は残ります。」
「そういうことですか。解りました。」
「では、私はこれで…。」
鞄を手にした。そして、何か思い出したように、
「忘れておりました。」
「なんでしょう?」
「そのタブレットでお買い物ができるのですが。」
「えっ…。通販できるのですか!」
また、驚いた。
「はい。欲しいと思うものは一通り買えると思いますが…。」
「それは凄い。」
「お支払いが…。」
その時、初めて自分の服装が気になった。イメージに一番近いのは上下白のジャージ。普段なら財布が入っているであろう場所を手で探るが手応えはない。
「財布が…。お金が無い。」
「いえいえ。ここでのお支払いは、転生後のツケ払いとなります。」
「転生後!?」
「はい。あまり買い物されると転生後にお金で苦労したり、過酷な運命が待つ事になります。」
「解りました。気を付けます。」
「お気を付けください。」
一礼。
「それでは、改めまして…。」
その言葉を遮り、電話の呼び出し音が鳴る。
「失礼。」
と、内ポケットからスマホを取り出し、「はい。」
スマホに向いお辞儀をした。ここでもやるんだと少し可笑しくなった。
「解りました。直ぐに向かいます。今、出先ですからデータを送ってください。」
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