プロローグ 勇者とデュラハン

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「はっ……すまないが、生憎と産まれてから愛する人なんて見つかっちゃ居ねえよ。それに、俺のパーティーの女子達は勇者パーティーである筈なのに、俺じゃなく、巻き込まれて召喚されたのにチートなスキル持っているタクミにご執心なようだしな」 「……ッ、プハハハッ! キサマノヨウナオオキナウツワヲモツモノガ、センシニオンナドモヲトラレルナンテッ……カタリグサトシテハチョウドイイオモシロイハナシダナ」 「いや、別に気にしちゃいない。巻き込まれて召喚される奴なんて大体チーレムって相場が決まってるし。既に女については諦めがついてるからな」 「……」  ユウトのその言葉に、ヘルムの隙間から覗かせる赤く光る目のようなものを瞠目させ、デュラハンはいつの間にか、鍔迫り合いをさせていた筈の剣を下ろしていた。 「……イサギヨイナ。サキホドカライッテイルチートトハナンダカシラナイガ……タシカニイマ、ワタシノオトウトトタタカッテイルセンシノホウガ、キサマヨリノウリョクガアルヨウニモミエル」 「まあな。あいつ、戦士なのに勇者の俺よりも強いし、何より主人公補正掛かってるし、絶対寿命まで死なない……というか死ねないぞ」 「クックック! モウイッソノコト、ユウシャデハナクセンシニテンショクシタホウガイイノデハナイカ?」  気を取り直す為なのか、ユウト挑発し、戦いを再開させようとしたが── 「それな。マジでそう思うわ。『不遇にも巻き込まれたがチーレム系』の主人公なら、もういっその事俺と勇者交代して代わりに世界救ってくれないかなって毎日思ってたんだよな……というか、お前と初めて意見が合った気がする」  ──無理だった。 「チョウハツシタツモリガ……マサカアッサリトミトメテシマウトハ……キサマホントウニユウシャナノカ?」  思わず、そう聞いてしまうデュラハンに、ユウトはデュラハンに合わせていた目を逸らし、少し間を空けた後、呟く。 「…………勇者辞めようかな」    そんなこれまでの不遇を溜め込んだような息を大きく吐いたユウトに、デュラハンは呆れたように嘆息した。 「…………ハア」 「……なんか、鍔迫り合いしてた筈なのにいつの間にか普通に剣構えないで話してるな」 「……ウム。ナゼカナ……ユウシャデアルオマエガ、スコシアワレニオモエテキテナ」 「そりゃどうも」
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