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「1万5千年前のアースドラゴンの化石が発掘されたの」
「アースドラゴン? ティラノザウルス・レックスじゃなくて?」
「ラボで調べた結果、歯の数も骨格の構造もTレックスと違うのよ。これまでの調べで判ったのは、太古の昔にダンジョンに棲んでいてゴブリンやホブゴブリンを補食していたと考えられる」
「まんまファンタジーだな」
柳沢は苦笑を浮かべる。
「アースドラゴンほどの生き物が活動し続けるには、体積の倍の餌を食べないと活動できないの。それを可能にしたのがファンタジーでは繁殖力ナンバーワンを誇るゴブリンとホブゴブリンのかずよ。餌に飢えずに活動できた本当の理由」
「そいつが、氷河期で絶滅したのか。またぶっとんだ解釈だな」
「違うの。頭がい骨に穴があった。長身の刃物で刺されて骨が陥没した穴よ。付着していた金属を精密検査した結果、該当する金属成分はなかった。私が考察するに"勇者に倒された"」
孝子は神妙な面持ちで呟くようにそう言った。
中東はエルサレムで発掘に立ち合った時、孝子自身も目を疑った。アースドラゴンにそれを倒した勇者や勇者パーティーが1万5千年前に実在していたことなど、ライトノベルの中だけの存在だと思っていたのだ。
それが化石化した状態で地下数十メートルの地底からワイヤーで吊り上げられて来たのだ。骨格には骨盤が開いている特徴が身受けられていたので、アースドラゴンには子宮が存在していたと考えられる。
即ちメスのアースドラゴンだ。
「今度は勇者かよ」
「今は信じられないでしょうね。でもあなたも知ってる筈よ。これまで妖精や小人と言ったものがYouTubeで何度もあげられて来たのを」
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