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「ああ、俺は半信半疑だが。じゃあファンタジー世界の住人は薬草しか食べないベジタリアンだったのか」
「良いわよ。私の研究はファンタジー世界の疑問を解明するためのものよ」
孝子はバスの前方を振り返る。彼女が研究するファンタジーラボは目の前だ。
「俺には夢を壊す研究にしか見えないがな」
「いいえ。それはサンタクロースはいないと夢を否定すること。私のは夢を肯定する研究よ」
「ねえ、お姉さん。勇者パーティーって本当に魔王を倒したの?」
柳沢が連れて来た子供"治喜"が孝子に訊ねる。
「お姉さんのラボで教えたげる」
「魔王って何してるの? ラストダンジョンでふんぞり返って毎日ハーレムなの?」
「それもラボで分かるわよっ!」
「ねぇ、夏休みの自由研究に使っても良いの?」
治喜の妹、孝美がノートを手に孝子に訊ねる。
「自由に触ってもいいわよ、呪文で動くダンジョンなんて面白いわよ」
「なんだそれ?」
「魔王のラストダンジョンよ。どうして魔王のダンジョンは自動生成型なのかが、その謎を解明したものよ、動かしてみたら分かるわよ。さぁ、二人とも1万5千年前にタイムスリップするわよ」
バスがファンタジーラボの前で停まる。孝子に続き柳沢と治喜、孝美が降りると一人の老人が後からゆっくり降りて来た。
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