悲鳴から始まる1日

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 元からそれなりに騒がしかった教室が、更に騒がしくなる。  クラスメイトの死。それも学校で死んでいたというショッキングな事実。  間違いなく男子生徒である花乃の死体が女子トイレで発見された事による、下品な妄想。  多感な年ごろであり、身勝手にはやし立てる事が好きな連中を刺激するには十分過ぎる話題だろう。  だからそんな教室では、オレの小さく漏れ出た「……は?」なんて言葉、簡単に掻き消された。  花乃が死んだ?なんで。  昨日まではあんなに元気で、普通で、判で押したような日常を一緒に重ねていたというのに。  少なくともオレの目に昨日の帰り道、花乃が死に至るような予兆は見受けられなかった。それも女子トイレで、なんて。  混乱する頭の中、不審者の可能性を考える。  花乃は忘れ物に気が付き、夜の校舎に向かった。そこで不審者に遭遇。花乃は中性的な顔立ちをしている上小柄で線が細い。暗闇の中であれば性別を勘違いされてもおかしくないし、「高校生なら誰でもいい」「男の方がいい」という変質者だっているだろう。  考えて、有り得ないと否定する。  まず花乃は学校に置き忘れをするような性格ではないし、もし何かを忘れても不法侵入の真似をしてまで取りに行ったりはしない。  万が一に取りに戻る必要に迫られたのなら、オレに連絡をする筈。  だから。  オレは目を背けていた事実と向き合うしかなかった。
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