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目を覚ますと、自分の部屋の白い天井が目に入った。
鳴り続けている目覚まし時計を止め、時間を確認する。六時三十分。いつも通りの朝だ。
しばらく前から、僕はずっと同じ夢を見続けている。始まりも経過も終わりも、全く同じ夢だ。
目覚まし時計の音で僕は起きているはずなのだが、その音で夢が中断されたことは一度もない。
夢の中での自分の行動は制限されている。意識は今の自分のものだが、夢の中の幼い自分はいつも同じ行動しかできず、同じ景色しか見えない。
最初から、不思議な夢だとは思っていた。あまり夢を見ない自分が、見た夢を鮮明に覚えていることは珍しかったからだ。
これだけ鮮明に覚えている夢なのに、最後に少女が言った言葉を思い出せないことがさらに不思議だったが、その時はただの夢だと思っていたし、特別気に留めることも無かった。
ところが、次の夜も、その次の夜も全く同じ夢を見た僕は、三日目の朝、少女が言っていることは思い出せないのではなく、そもそも耳に届かず聞こえていないことを確信した。
連日、全く同じ夢を見ることは不思議ではあったが、恐ろしいということはなかった。
ただ、聞こえない少女の言葉が何なのか、それは日を追うごとに気になっていった。
僕は同じ夢を見続けている。
少女の言葉はまだ一度も聞こえないまま、今日は夢を見始めてから一月目の朝だった。
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