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第三話「ルーカスの場合」
─人機融合型人型兵器、アイオーンの起動実験は無事に成功を収めた。
僕にとってはさほど重要な実験ではなかったが、議会の承認を得るには充分な成果だろう。
「これでやっと、僕が目指す人類救済計画に着手できる…。」
僕は議会の要人を集め、実験の報告を行った。
しかし、賞賛を得たのは、実験の成果だけだった。
僕が本当に目指していた、人類救済計画は見向きもされなかったのだ。
─結局は完全な兵器が欲しいだけじゃないか。
僕は人類が生き残る為の計画をしているのに、奴らは自分たちだけが生き残るために僕の研究を利用している。
理不尽だ。理不尽でならない。
悔しさと憎しみが僕を多い尽くしていく。
「ルーカス様?怒っておられるのですか?」
「やかましいぞ、ゾハル。お前みたいな機械に何がわかる。」
「失礼とは存じますが、まさかお一人で計画を…?」
「やかましいと言っている!これは僕にしかできない事なんだ…世界のため、人類が生き残るために必要な事なんだ!」
「ルーカス様、冷静になられては。計画の遂行の為には議会の承認と、その協力を得ねばなりません。」
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