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「声門認証、クリア。ロックを解除します。」
すると、赤いランプが緑に変わり目の前の扉が開いた。
「誰?誰かいるの?」
僕は暗闇に向かって問いかけた。
「これは失礼。初めまして、が正しいようですね、スピル。私はこのシェルターに搭載されている量子コンピュータ・Z.H.R.と申します。気兼ねなくゾハルとお呼びください。」
「ゾハル…さん?」
「コンピュータに『さん』を付けるなんて珍しい人ですね。とても興味深い。」
─何を言っているのかあまりよく分からないけれど、悪い人じゃなさそうだった。
「ゾハルさん、僕は施設の外が見たかったんだ。お願いできる?」
「もちろん、お安い御用です。さあ、こちらへどうぞ。」
すると暗い通路の床に光の線が走った。
「…うん。今行くね。」
僕は線を辿って、ゾハルと冗談を言い合いながらシェルターの中を歩いて回った。
─結構歩いた気がするなぁ。少し疲れてきちゃった。
「ねぇ、ゾハルさん。この線はどこまで続いているの?」
「私の部屋です。少し、スピルとお話がしたいと思いまして。」
「本当?僕もゾハルさんに会ってみたい!」
「嬉しいお言葉、ありがとうございます。さあ、もう少しで私の部屋です。」
通路の突き当りで、光の線が途切れていた。
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