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世界で最後のヒロイン
ーー私は今、きっと世界で一番走っている人間だろう。
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私が会いに行ったのは、同中で同じ部活でクラスメイトだった男の子、武井心吾(たけいしんご)の所だった。
彼に会って好きだと言った。
心吾は皮肉げに言った。
「みんなゾンビになるって分かったら、こんな俺にまで告白かよ。瀬戸(せと)お前はちなみに三人目」
「告白して、そしてどうするんだ?ヤりたいのか?」
「世界終わるのにな」
彼のほの暗い瞳に、苦しいくらい泣きたくなって泣きながら叫んだ。
「私はっ、私はゾンビになんかならない、世界で最後の人間になるんだもの!」
「私、世界でたった一人になる前にあなたに好きだって伝えたかっただけだもの」
心吾は目を瞬かせ事情を聞いてくれた。
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