3/5
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
 女房が大声を張り上げ、子ども等が朝飯を食うようだ。  子どもが五人も居ては、騒々しくて仕方がないが、磯村も裏店暮らしが長いから、そんなことはさして気になりもしない。  朝飯を食い終えてしまうと子ども等は、外へと飛び出して行った。  遊びたい盛りのことで、こんな狭い家の中になど、一時たりとも引きこもってはいられないのだろう。  それにしても――  昨日引き合わせてもらった子ども達は、下は五つか六つくらいのようであったが上はもう、十三、四にはなっていたのではないだろうか。こんな貧乏暮らしをしているのであれば、とうに家を出ていてもおかしくはない年齢だ。町家の貧乏人なら、十歳やそこらで奉公に出される例も、少なくはない。  やはり、武士の矜持とやらで、どこぞへ仕官させたいとか、武家へ養子にやりたいとか、そんな大望を抱いているのだろうか。いや、それにしては皆、身なりも口の聞き方も、武士の子のようでは無かった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!