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今日の最後の授業が終わり、短いホームルームの後、クラスメイト達はようやく私語を解禁した。部活へ、アルバイトへ、予備校へ。それぞれの放課後の為に、一人、また一人と教室から出て行った。
僕もまた、早々に下校しようと黒のシンプルなリュックに荷物を入れながら、計画を練っていた。
なぜか緊張してしまって彼女に話しかけられないことが気にはかかるが、まあそのうち話しかけられるだろう。そうして彼女と話すような間柄になり、数日後に彼女を高校の敷地内にある裏の倉庫に呼び出そう。告白か何かだと思い、彼女は気を使って一人で来てくれるはずだ。裏の倉庫はもう何年も使われていない倉庫で、誰も近寄らない。そしてこの学校の理事長の孫である僕は、その倉庫の鍵を持っている。
計画の全容。人が少なくなる部活が終わった後の時間帯に彼女を呼びつけ、二人で倉庫に入る。鍵を閉め、迅速に彼女の声帯を潰す。そして『それ』を実行。僕は倉庫から出て、外から再び鍵を閉めておく。血を洗い流す為の水や、僕の着替えの制服、彼女の残った臭いを消すもの、その他諸々は事前に倉庫の中に用意しておこう。夜のうちに高校に忍び込めばいいだけだ。
そうだ、帰る前に倉庫の様子を見てみよう。もしかしたら、僕の知らない間にあの倉庫が使われるようになっているかもしれない。それは困るからな。
そうして僕は教室を出て、裏の倉庫へと向かった。
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