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「あひゃひゃひゃひゃ!!も、もみ!じさっやめっ動かないで!!ひひひひひぃ」
ブロイはタコのように踊る。よほどくすぐったいらしい。兜をそばに置くが、その兜がカタカタと震えている。声の発生源はこちらか。
エイミはすっかり怯えてしまって、固まっていた。
中にいるモミジは、彼の揺れが激しすぎて少し気持ち悪くなった。
「き、きもちわるいー」
「は?え?ちょっと待って!待った!待つべし!!」
ブロイは慌てて胴の部分を持ち上げると、隙間からモミジが転がり出てきた。蒼い顔をしている。彼は兜をエイミに頼んで、モミジを抱えて走った。トイレだ。
「だから、言ったのに。やめよって」
その夜、ベッドの中でエイミがモミジに言った。モミジはあれからトイレでしこたま吐いたあと、母親にこってり叱られた。エイミの隣でぶすっとした顔を枕に押し付けている。
エイミは両親が地方の視察に行く間、竜王の城に預けられていた。城の中では唯一の同年代の友達だ。さみしいだろうということもあって、同じ部屋を使っていた。
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