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そんな彼女を見て 翔悟は嘘をつきたくなった。
本当は大学生なんかじゃない、
彼女と同じくらいの歳だと言いたくなった。
だがそんなつまらない嘘をついた所で
何も変わらない事はよく分かっている。
「...何か飲み物 奢りますよ。
と言っても、缶ジュースとかですけど」
頭を軽く掻くと太陽のせいで熱かった。
「ありがとう。
缶ジュース、なんだか
思い出に残りそうでいいじゃない」
口元を綻ばせてくしゃりと笑うその姿は
やはり翔悟より年下なのではないかと
思わせるほどあどけなく、
首筋に光る一粒の汗は
葉の露のように清らかだった。
Fin.
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