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日差しを遮るものがないサイクリングロードは
お世辞にも涼しいとは言えなかった。
ペダルを踏む足を止め、
クロスバイクを押しながら歩く。
翔悟は少しそわそわしていた。
もう一度彼女の姿を見たいと思って今
ここにいるのに来たら来たで
引き返したいほど情けなく緊張が走る。
辺りを見渡すと
昨日と同じ場所に 彼女 はいた。
不思議だった。
胸が高鳴るとも、締めつけられるとも違う。
彼女を見つけると自然と吸い込まれるのだ。
知らないうちに目が離せなくなって
暑さも忘れ、ただただ魅了される。
彼女はすらりと立ったまま
じっと川を見ているようだった。
姿勢が良いのが後ろ姿だけで見て取れる。
淡い水色で膝が少し隠れる丈のワンピース。
頭にはつばの大きな麦わら帽子が乗っていて
セミロングの髪が微かな風でなびく。
まるで彼女は自然の一部なのではないかと
思うほど透き通る美しさがあり
ずっと見ていられそうと思った。
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