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「でも、今まで我慢していた分抑えが効かないから」
華を見つめる先生の目には欲の炎が揺らめいているように見える。
今まで華が先生の立場を考えることなく困らせることはあったけれど、先生は華が理解してくれるように、傷つかないように大人な対応をしてくれた。
その枷がなくなった先生は高校を卒業したばかりの子どもなんかより経験値の豊富な大人の男だった。
「これじゃあ、今までと立場が逆だな」
真先生の言葉はぎゅっと抱きしめられ、密着した体から直接響いてくるような感覚がする。
「今まで華が『好き』って言ってくれたぶん、今日からは俺が返すから」
覚悟してろよ?
そういって不敵に笑う先生はすごく悪い顔をしている。けれど囚われた華はもう逃げられない というより、歓喜のあまり逃げることすら頭に浮かばない。
「先生…」
華は熱に浮かされたような瞳で真先生を見つめる。
「俺はもう先生じゃないよ…」
そう言って真は再び華の唇を塞ぐ。
卒業を迎えた生徒とそれを見送った教師。社会的に許されることのない関係にあった二人が『卒業』という一つの出来事によって変わった瞬間であった。
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