Graduation

カラカラと理科室の扉を開けると、独特な臭いが鼻をつく。
「それで、真先生　何を片付ければいいの？」
華は手にしたスクールバックを机の上に置き、制服の袖をまくる。
「準備室にあるみんなが使っていたキットをまとめてしまっておきたいんだ」
「はーい」
真先生は片付けるものを取りに隣の準備室に入っていく。
華は特に用事はないものの先生に続いて準備室を覗き込む。中は少し埃っぽいけれど、綺麗に片付いていた。
「このダンボールの中に入っているやつの名前シールをはがしてくれないか？」
「全部はがせばいいの？」
「はがし終わったやつはこっちに入れてくれればいいから」
「はーい」
先生はキットが入ったダンボールを机の上に置き、イスに座る。そして右側に空のプラスチックケースを置いた。華も先生と向かい合う位置に座り、作業を始める。
理科室内にはペリペリとシールをはがす音とカチャッとキット同士がぶつかり合う音だけが響く。