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「担任になってすぐの頃、華ちゃんが告白してくれただろ?」
三年生の四月、友達二人も含めた四人で話をしていたときに華は初めて告白した。告白とはいってもただの話の流れで「私、先生のこと好きだよ」と言っただけ。あの時はたしか驚いた顔をされて「本当か!先生もみんなのことが好きだぞ~」とかいって誤魔化されたっけ。
「あの告白、家に帰ってからずっと考えてて…こんなに年上の俺のどこがいいのかなとか、からかわれてるのかなとか…そもそも告白自体が夢だったとか!?」
「私はずっと本気だったよ」
真先生のコロコロと変わる表情に華は笑う。
「やっと笑ってくれた」
華が笑ったことに真先生も安心したように微笑む。
「で、その日から毎日のように告白されて、あれは正直困ったな…」
「ご、ごめんなさい」
毎日だったからできるだけ重くならないように軽く言っていたつもりでも、やっぱり先生にとって毎日の告白は迷惑だったのだ。華は笑顔から一転して暗い表情になってしまう。
「いや、そういう意味じゃなくてね…うーんなんて言うか…その…、ほら、」
先生は言いたくないのかはっきりしない。
「その、生徒とはいえ俺にとって華ちゃんは気になる女の子だから そんな子にカワイイこと言われたら、俺だって…その、我慢できない、って言うか…」
先生の方が大人なはずなのに今は子どもみたいだ。真っ赤になりながら言葉を紡ぐ。
「真先生、顔真っ赤」
「し、仕方ないだろ!…こ、こんなこと慣れてねーんだから」
クスクスと華が笑えば先生は学生のように反応した。
「それで卒業式の今日、式が終わったあとになにか用事をつくって華ちゃんに直接伝えようって」
『生徒と教師』ではなくなった今日この日に。早く告げないと華は誰かのものになってしまう。東京に行ってしまったらきっと自分のもとで可愛がることは二度とできない。そんな焦りが真の中にはあった。だから、すぐに終わってしまうような雑用を残しておき、華と二人きりになれる状況をつくろうとしていた。
真先生は再び真剣な瞳に戻り、華を見つめる。
「華ちゃん 返事は…?」
返事は決まっていた。
「真先生、私も1年生の時から先生のことがずっと好きでした 先生が『生徒と教師だから』って私のことをフっても」
「それに関しては…ごめん」
「ううん、それは正論だったから」
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