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「お前の妄想癖は音楽じゃなくて小説にでも活かせば一旗揚げられ そうだが、そのことには気づかないんだな。」
そんな話をしているうちに教室の平均年齢を上げるひとりの男が入ってきて俺は寝た。
よく寝た。テストが近いやら遠いやらの話がありチャイムがなり、一日はここから始まる。
俺の有益な人生を過ごすための時間論では徹底的に無駄を省くように説いている。前述でもあった通学時間の短縮はまさに基本といえる。
じゃあわざわざ学校に来てまで寝ているのはどうなのかというと、コストパフォーマンスの話を出さざるを得ない。
睡眠は全てに於いて優先されるべき事項である。そして睡眠は無駄を上塗りにするという最高のパフォーマンスを私たちに齎してくれる。
無駄な時間を過ごしに来ているのではない。睡眠をしに来ている…、完璧すぎる。そして俺はそれを完遂したのだ。いや、完睡と表現しておこう…。
「早く帰ろう。お前の有益な時間がロン?のアレがあるんだろう。」
「麻雀でもやるつもりか。」
有益な人生を過ごすための時間論が今ここで完成してしまったと思っていたが、なんと夢だった。夢で完成してしまうとは、完全無欠。死角がない。
「俺、考えたんだけど勉強を頑張るわ。そんで医者にでも」
「は?」
お前は俺とバンドを組んでサマーなんとかとかロッキンなんとかで名を馳せるんだが?
「実は小さい頃に弟を亡くしているんだよな。なんか難病とかで、お前が散々探しているきっかけを俺も見つけたっていうことで頑張ってみるわ。」
止められねぇよなあ。未来に可能性に溢れる若者の夢を、ただ無駄を省くだのなんだの言っているだけでなーんもアクションを起こさない俺がよう…。
「ということは、今からお前は勉強を頑張る。俺はお前を応援する。有益な人生を過ごすための時間は無限ではない!有限だ!走れ若人よ!」
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