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二人でひたすらに走って帰った。
生き急いでいるようだ。
俺たちには明日があり未来がある。
夢を実現することができる。可能性がある。
少なくとも、今は。
今思うと先のしようもないこのできごとをきっかけにして、彼は常に勉強をしていた。
噂によると授業というものが学校という機関では毎日開催されていて、生徒である我々はそれに参加するというシステムがあり彼は毎日欠かさずそれに参加しそして成績を残してきた。
一方で俺は未だに暇を弄んでいた。時間は有限だ。無限ではない、彼は勉強を頑張っているから俺は邪魔をしない。
というのも、頑張っている人間というのはどうもとっつきにくい。自分と違う世界に居て、しかも籠っているのだから。
彼と俺とが疎遠になるのはそう難しいことでもなく、必然とかそういう運命すら感じさせないほどに自然な流れではあった。学校という機関はどうも授業を受けない生徒には優しい対応をしない。
徐々に居場所がなくなってしまった俺は、次第に完睡を行うにはほど遠い環境に身を置いていることに気づく。
ストレスは睡眠の質を奪う。俺は気を病んだ。
有益な人生を過ごすために、有益な人生を過ごすための時間論を考え出した俺はその論最大のポイントである「完睡」を否定せざるを得なかった。
結局、この有益な人生を過ごすための時間論こそが俺の人生では無駄に値するものだった。
有益な人生を過ごすためにはどうすればいいか、考えるまでもなく俺に有益な人生を過ごすためのものはなにもなかった。
それこそ弟が病気で死んだとか、ある日宇宙から飛来した宇宙人が裏庭で鳴き声を上げているとか、世界は核の炎に包まれて伝承者の俺は…とかそんなことが有益な人生を過ごすためのきっっかけとしか考えてなかったのではないか。しかも俺はその話の主人公になる気満々であった。
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