ヒッチハイク的人生論

2/5
67人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
結構な歳まで生きてまいりましたが、ワタシそんな人生で一度だけヒッチハイクをした経験があります。 ヒッチハイク……というのとは、厳密には違うのでしょう。 正確には、とある小山の頂上付近の森で困っていたところを、その時たまたま通りかかった、フキを取りに来た親切なドライバーさんに救出して頂いた、というのがホント。 って……どんな状況だよ我ながら。 訳がわからんわ。苦笑。 その当時、ワタシはホテル関係の仕事をしていたので、とある山奥のリゾートホテルの寮に入って生活してたんです。 その日はたまたまお休みの日。 運搬バスから見えていた「○○温泉 この先○メートル」の小さな看板を思い出し「行ってみたいなー」と思ったのが最初。 温泉とか銭湯、大好きです。 小さな山に向かって、大きな道路脇に鬱蒼とした森の中へアスファルトの道路が続いていました。 ワタシは札幌出身の都会っ子で、その時までなんとなく「道路というのは、町とかそういう何処かと何処かを繋ぐもの」という認識を持っていました。 皆さまも、そうかも知れません。 それはつまり、言い換えれば 「道路を歩き続ければ、いずれは何処かに辿り着ける」訳で。 「辿り着いた先で、タクシーを呼ぶなり、バスで帰るなり対策が取れる」と思ってしまった訳ですね。 ええ。かなり短慮です。 元々、重篤な方向オンチのワタシ。 分かっていたのに。 ワタシは、看板の表示から離れて、別のアスファルトの小道を進んで行っちゃった次第。 ── 結論から言うと、そこはこの日本で非常に珍しい「どこにも繋がってない、どこにも辿り着けない道路」だった訳ですね。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!