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勿論ダンナさんも、収入が減ったのに、手術通院で大きな出費がのしかかります。
退院して1年も2年も体調に影響が出るというのは、経験者でないと、とうてい理解出来ない感覚でもあるでしょう。
ついイライラしてしまったのかも知れません。
結局その女性は気力を振り絞り、体調が戻るまで何年も頑張り続け、それでも何度もダンナさんと喧嘩をしながら家族生活を続けてきたそう。
そして迎えた高齢期。
50代くらいから、男性の病気発生リスクが跳ね上がります。
元々統計的に、生涯の病気発生率は、女性よりも男性の方が明らかに高いです。
女性は発生率は低いものの、働き盛りのような比較的若い頃に病気を発生することが多いそう。
そのダンナさんも、大きな病気を患ってしまい、病院で手術を受け、無事退院したよう。
手術を受けて、実際に術後の負担を経験し、すっかり疲労困憊したダンナさん。
「昔、よく知らずにお前にはひどいことを言ったんだな。悪いことをしてしまった。ごめんな」
と言ったそう。
「いやいやいや、今更でしょうって感じ。
アンタに謝って貰ってもね。あの時の、私の吐くほど苦しかった人生が戻って来る訳ないもんねー。
あははは」
中高年女性は、そう言ってカラカラ笑いました。
今は無事、子供を育て上げたというその女性。
「今は年金支給開始年齢が待ち遠しいのよ。
こんだけ我慢して、結婚生活続けてきたもんね。
受給資格は問題ないでしょう?
支給開始の歳になったら、即離婚してやるの。
私は病気を患っても生活出来るけどね。
ダンナは無理でしょう?
それだって優しい方よ。
だって相手は、家族の世話をしなくていいんだからね。
自分一人、生きて行くだけでいいもの」
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