閑話休題:家族が乳ガン検査を受けるとき

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閑話休題:家族が乳ガン検査を受けるとき

ちょっと想像してみて下さい。 もしあなたが仮に、会社の健康診断や人間ドックで異常が見つかったとします。 気になる所があるので精密検査を受けて下さいとお医者様に言われ、良く分からないアルファベットやカタカナと数字が書かれた、専門用語だらけの検査結果の紙を貰う。 ……どうやら、自分の身体は良くないらしい。 検査か。やっぱ受けなきゃダメだよね。 まあ多分、怖いと言えば怖い。だけどピンと来ないと感じることが多いんじゃないかしら。と思う。 検査結果の数値だけ見ても、お医者さんじゃない私達には正直どのくらいのリスク……もっとはっきり言っちゃうと、どのくらいヤバい状態なのか実感として分からない。 今のところ体調も悪くないし、今分かっている情報としては良く分からない検査結果の紙だけ。 もちろん、乳ガンもしこり状にならないものもあるし、初期の乳ガンが健康診断や人間ドックで見つかる事も多いそうなんですが。 ただ、しこりを発見して検査に行く場合、殆どの場合既に自分の身体がヤバげな状態だと、はっきり自覚した状態で検査を受ける事になります。 乳ガンは自分で発生に気付く事が出来る、唯一のガンだと言われています。 それは取りも直さず、患者さんは検査前から既に強いショックとストレスを受け、パニックを起こしかけの状態で検査予約を入れるという事です。 そもそも認めたくない。気のせいだと思って忘れたい。もう全部無かった事にしたい。気付かないまま、いつも同じ生活をしていたあの頃に戻りたい。 そんな気持ちと。 1分1秒でも早く診察して欲しい。今この瞬間にも、自分の身体が病気に侵食されているかと思うと怖くてたまらない。診察を受けて、今すぐ侵食を止めて欲しい。誰か助けて。 正反対の気持ちの間で、板挟みになり。 このまま座して死ぬなんて嫌だ。自分の命を守る為に、何か出来る事は無いの?と出来る事を探して。 結局、お医者さんに頑張って貰うことくらいで、自分の命なのに自分には何も出来る事がない。 そもそも何で私だけが、と悩んでみても、答えなんか見つからない。
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