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雷雨が収まるのを待とうと一人、カフェテリアでドリンクを飲みながら外を眺めていたが一向に止む気配は無かった。
せめて雷だけでも止んでくれればいいのにと彼女は思った。
カフェテリアには人は殆ど居なくなり、売店やキッチンのスタッフも後片付けを始めていた。
ジュディスはこのままここに居ても仕方ないと思い席を立った..するとカフェテリアの入り口に白衣を着たウィリアムが居たのだ。
「ウィリアム!」
「ジュディじゃないか!どうしたんだい?もう授業は終わっただろう」
彼女は雷雨が収まるのを待っていた事を話した。
「そうか、それじゃあ送っていくよ」
「えっ、でも..仕事は?」
「終わったからここに来たんだよ、一息つこうかなって」
ウィリアムは小さく微笑むと「着替えてくるからもう少しだけここで待っていてくれ」と彼女に話した。
ジュディスが返事をすると彼はカフェテリアを後にした。
***
雷雨の中走る車中でジュディスは怯えるように身を固めながら無口だった。
「大丈夫かい?」
そんな彼女を心配しウィリアムが声を掛けた。
「..ええ大丈夫、それよりありがとう..送ってくれて」
「構わないさ、これからは帰れない時はメールしてくれれば会議とか研究が無ければ送って行くから」
「..ウィリアム...」
ジュディスは彼の腕を優しく掴み、力なく微笑んだ。
雷が鳴る度に彼女はあの夜の事を思い出す。
初めてデイビッドの優しさを感じたあの雷雨の夜を...
そこから二人の関係も少しずつ変わっていった、極めつけは彼の過去を知った事もあるが、彼女にとってこの雷から何かが変わっていったのだ。
住宅街の彼女の家の前の歩道横の路肩に停ると、「家の近くまで一緒に行こうか?」と心配して聞いてくれた。
「ううん、大丈夫。本当にありがとう」
ジュディスはやっといつも通りの明るい笑みを見せた。
...と、その時!
運転席側の窓ガラスを"トントン"と叩く音が聞こえた。
雨が強いので相手の人相がよく分からず、ウィリアムは窓を少し開けた。
「パパ!!」
先に気付いたのはジュディスだった。
そこには傘を差したデイビッドがいた。
「お前の帰りが遅いから部屋からずっと見てたんだ、そうしたら見覚えのある車が家の前に止まったから」
「雨が酷かったから送って貰ったの..」
デイビッドは助手席側へ回るとドアを開け、彼女を降ろさせた。
「ハリス教授でしたね、娘を送ってくれてありがとうございます」
「いえ、構いませんよ」
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