ダイアリー〈6〉

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学校でも家庭でもコソコソとしないといけないのはジュディスにとってはとてもストレスだった。 自分も早くカールのように堂々と交際をオープンに出来たらいいのにと思っていた。 大学を卒業したらそれは可能になるが、デイビッドが二人の交際を認める筈がないだろう。 彼女はまるで籠の中の鳥のようだった... 週末の泊まりも、もう長い事続けている。 デイビッドにウィリアムとの事を疑われた時はもう駄目かと思ったが、特にバレる訳でもなく今こうして週末を二人一緒に過ごしている。 この泊まりが無くなったら本当にウィリアムとは卒業まで遠い存在になってしまいそうだった.. 大学を卒業したら看護師の資格を取り、出来ればどこかロスから離れた病院へ就職し一人暮らしをする予定だ。 一度は失敗したが、流石にこればかりはデイビッドも反対は出来ないだろう。 その時が彼女にとっての本当の自由になる時だった... 「卒業まで長いわ..」 ジュディスはため息混じりに横にいるウィリアムに呟くように話した。 二人はベッドの上で彼女はウィリアムの胸に頭を寄せて横になっていた。 「あっという間だよ」 彼はジュディスの髪を優しく撫でながら、額にキスをした。 「..早く自由になりたい」 再び呟くように話すジュディスをウィリアムはただ抱き締めるしかなかった... *** 二人はリビングへ行くとウィリアムはキッチンへ向かい、コーヒーを淹れて戻って来た。 「ありがとう」 ジュディスはカップを受け取ると、ゆっくりと一口啜った。 ウィリアムは彼女の隣に座るとリビングに飾ってある幾つかの宇宙の写真を眺めていた.. 「..前にも話した事があると思うけど、いつかどこかの田舎町で星空を眺める生活をするのが僕の夢だって」 「ええ、そこには私もいるって」 ジュディスは小さく微笑むと、彼の手にそっと手を置いた。 「僕と君は年齢が随分離れているし、僕は一度結婚している..」 「どうしてそんな事言うの?私は貴方の全てを愛しているの..ウィリアムもこんな私を受け入れてくれた..」 「勿論、君の事は心から愛しているよ。..ジュディがいない人生は考えられない」 彼はジュディスの頬を優しく撫でた。 「君と将来を見据えた交際をしたい..」 「..それって」 彼女はハッとした表情をした。 「結婚しよう」 その一言で充分過ぎる程、説得力のある言葉だった。 ジュディスは思わず彼に抱きついた... 「勿論イエスよ!ウィリアム」
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