ダイアリー〈5〉

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「分かった、約束する」 そう言うと彼女の頭を撫で、額にキスをした。 ジュディスは安心した様な笑みを見せると立ち上がり、リビングを後にした。 部屋へ戻ったジュディスはどうして自分はあんな事を言ったのだろうと思った..それでもデイビッドは納得してくれたし、もうこっそりと廊下で寝室のドアに聞き耳を立てずに済みそうだった。 ウィリアムへの誤解(不信感)も解け、彼女はやっと気持ちが前向きにそして大人の恋愛をしているんだと自分に自信が付いてきたのだ。 彼女のウィリアムへの罪悪感が日に日に麻痺してきているようだった。 ーーー次の月曜日 午前の講義を終え、ランチを食べようとカフェテリアに向かっていると廊下でカールと偶然会った。 彼は天文クラブのメンバーで以前彼女の為にデイビッドの情報を警察内部のデータベースに侵入しハッキングしてくれた天才ハッカーなのだ。 そして何故か卒業もせず、ずっと4年生で大学生活を送っている年齢不詳の変わり者だ。 「やぁ、ジュディス!良かったら一緒にランチでもどうですか?」 「うん」 彼女は笑みを見せると、二人はカフェテリアへ向かった。 中央辺りの4人掛けのテーブル席に座ると、ジュディスははじめにマッシュポテトを一口頬張った。 カールはハンバーガーを食べている。 「カール、すごく変わったよね」 ジュディスはふふふと笑った。 彼は誰がどう見てもオタク風な青年だった。 それが数ヶ月前から急にイメチェンしたのだ。 元々スタイルは良かったし、風貌さえ変えればガラリと変わるタイプだった。 分厚い眼鏡はやめコンタクトに変え、クルクルとしていた髪はストレートにし今ではサラサラの美しい栗色の髪だ。 分厚い眼鏡でよく分からなかったが、大きな目に美しい青い瞳が輝いている。 服装も今時の洒落たファッションだ。 言われなければ彼がカールだと分からないだろう、実際初めてイメチェン後の彼を見た天文クラブのメンバー、ジュディスも含め誰も気付かなかった位だ。 彼は口の中の物をコーラで流し込んでから、 「褒めてくれてるんですか?」と微笑んだ。 「ええ、だって見違えるように変わったから。何かあったの?」 彼はフライドポテトを一本食べると口篭った。 「あっ!分かった、カール好きな人がいるのね」 彼女はクイズ番組で正解が分かった時のようなハッとした表情をしてから笑顔で問い掛けた。 カールは小さくはにかむと頷いた..どうやら正解のようだった。
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