ダイアリー〈5〉

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ーーーその日の夕方 ランチ時間とは打って変わって、カフェテリア内は落ち着いた雰囲気だった。 窓から夕陽が入り込んで構内をオレンジ色に染めていた。 ジュディスはいつもの窓際のテーブル席で先に待っており、陽射しを遮る為にブラインドを下ろしておいた。 暫くするとウィリアムがやって来た。 「やぁ、待ったかい?ちょっと研究棟の方で書き物をしていたから..」 「いえ、大丈夫。それより突然、呼び出してごめんなさい」 「構わないよ、何か飲むかい?」 「ううん、私は要らない」 ウィリアムは彼女の答えを聞くと、自分も向かいの椅子に座った。 「そうだ、昨日はごめんなさい..タイミングが悪くて」 彼女はウィリアムにデイビッドと鉢合わせした事を謝った。 「いや、君が謝る事ないよ。それよりも何も忠告出来なかった自分が嫌になるよ..下手に刺激すると彼は後で何をするか分からないから」 「大丈夫よ、最近は落ち着いてるから。本当にありがとう..ウィリアム」 ジュディスは彼に優しく微笑んだ。 「ジュディ、この事を話したかったのかい?」 「あっ、それもだけど本題は...」 彼女は昼間カフェテリアでのカールがケイトに恋をしている事や彼と約束した事を話した。 「そうか、それで彼はあんなに人が変わったように..」 ウィリアムは腕組みをしながら頭の中を整理している様だった。 「私がケイト先生にカールの事をどう思っているのか聞く事になっちゃって..」 彼女は少し困った顔をしながらも笑顔を見せた。 「好きなら好きって言うべきだと思ったらつい熱くなっちゃって」 「ふふ..君らしいよ」 ウィリアムは小さく笑うと彼女を見つめた。 「私達の時の事覚えてる?」 「ああ、勿論。でも君は絶望の淵にいた..」 「それを救ってくれたのはウィリアム、貴方よ」 彼女は白い歯を見せ小さくはにかんだ。 二人の間で少しの間、時間が止まったようだった..それは心地良い幸福(しあわせ)な時間。 「僕で手伝える事はあるかな?」 「大丈夫よ、ちょっと聞いて欲しかっただけ..それを口実にしたのもあるけど」 ジュディスは隣の椅子に置いていた鞄を取ると、立ち上がった。 「書き物の途中だったのにごめんなさい、それじゃあまた明日」 「ああ、気を付けて帰るんだよ。あっ、ジュディ」 彼女は足を止めて振り返った。 「今週は一緒に過ごそう」 ジュディスは笑顔で頷くとカフェテリアを後にした。
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