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帰りのバスの中でジュディスは自分はお節介を焼いてしまったのではないだろうかと少し不安になったが、友達のカールの為に少しでも力になりたかったのだ。
明日、それとなくケイト先生に聞いてみようとジュディスは考えていた..
ーーー次の日の午後..
丁度この日はケイトの受け持つ授業に出席していたのでジュディスは講義が終わると急いで教壇で後片付けをしているケイトの元へとやって来た。
「あら、ジュディ!どうしたの?」
ケイトは眼鏡を外し教科書の上に置いた。
「あの..今日ってお時間ありますか?」
「何か込み入った話し?」
ケイトは彼女の顔を伺いながら聞いた。
「..ちょっと」
ジュディスは自信なさげに呟くように話した。
「今日私、この授業で終わりなんだけど良かったらカフェかどこかでお茶でもしながらお話ししましょうか?」
ケイトの提案に願ったり叶ったりのジュディスは元気よく返事をした。
「それじゃあちょっと、この教材を研究棟へ持っていって帰りの支度をしてくるから先に職員用の駐車場で待っててくれるかしら?」
「はい、分かりました」
二人は駐車場で待ち合わせの約束をして別れた。
ジュディスは言われた通り、先に職員用の駐車場でケイトが来るのを待っていた。
暫くするとベージュ色の薄手のジャケットを羽織ったケイトが小走りでやって来た。
「ごめんなさい、待たせちゃったかしら?」
肩から掛けたショルダーバッグはまだ振り子のようにユラユラしていた。
「いえ、大丈夫です..それより何だかすみません」
「いいのよ、予定も無かったし」
ケイトは笑みを見せるとバッグから車のキーを取り出し、目の前に停まっていたプリウスのロックを解除した。
二人は車に乗り込むと、ケイトは車を発進させた。
大学を出て市街を暫く走り、適当にカフェを探しているとオープンテラスのあるカフェがあったので道沿いのパーキングに車を駐車させた。
店内に入るとウェイトレスが店内かオープンテラスの席どちらがいいかを聞かれ、今回は店内にした。
二人は店の奥の窓側のボックス席に座り、ウェイトレスにコーヒーを二つ注文した。
夕方で西日が入り込むのでブラインドが下ろされていたが、それでも店内はオレンジ色に染まっていた。
「あれからウィリアムとは上手くいってる?」
「はい。ケイト先生達と別れた後、ハリス先生と会って..誤解も解けました」
「そう、それなら良かったわ」
ウェイトレスが丁度コーヒーを運んで来た。
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